アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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ヨコタさんと飲みに行く

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ヨコタさんと一年ぶりに再会し、酒を飲んだ。

ヨコタさんはパリ郊外に住む画家で、毎年、夏になると来日する。ちょうど一年前にも、池袋の同じ居酒屋に行った。実は、馬鹿のひとつ覚えのように、もう何年も、この居酒屋で飲んでいる。もちろん、安いからである。
ただ、昨年はふたりとも短パンであったが、今年は、あえて、短パンを着用していかなかったら、案の定、ヨコタさんは短パンで、「何故、短パンをはいてこないの!?」と文句を言う。きっと、ペアルックで池袋の街をそぞろ歩くのを楽しみにしていたに違いない。ところが、気がつくと、新調したばかりの眼鏡が、ヨコタさんの眼鏡とそっくりだったので、それで勘弁してもらった。

お土産をもらった。フォアグラとソーセージである。さすがフランス暮らし四半世紀、お土産も洒落ている。ありがたくいただいた。

居酒屋の後は、寿司屋へ。
この寿司屋も、何故か毎年入ってしまう。ヨコタさんが、女将さんと話を始めた。
「毎年、夏になると、ここへ来るんですよ。」
「それは、どうもありがとうございます。」
話に弾みをつけようと、私も口を挟んだ。
「この人ね、こう見えても、フランス在住の画家さんなんですよ。一年に一回、こうして凱旋帰国しているわけです。今日で滞日4日目です。」
「あれ、まあ、本当に!フランスから!」
「そうそう、この人、家も自分で作ったんです。」
「フランスにお家を建てられたんですか・・・!そりゃあ、ご活躍なことで・・・!」
女将さんは、ヨコタさんのTシャツに目をつけ、ヨコタさんに尋ねた。
「じゃあ、このTシャツの絵も、ご自分で・・・?」
「ああ、これ?違いますよ。これは、バスキア。」
「バスキ…?」
「実は、昔、バルセロナで、話をしたことがありましてね、ぼくと同い年だったんですよ。」
「まあ、同い年・・・!」
何だか、よくわからない話が続く。女将さんは、ヨコタさんを徹底マークし、矢継ぎ早に質問を浴びせかける。
「フランスっていうと、何がおいしいんですか?やっぱり、毎日、フランス料理?」
「いや、フランス料理なんか食べませんよ、何がおいしいかって、う~ん、そうだなあ、・・・そうそう、あの・・・あれ・・・いねえや。」
熟考を重ねた横田さんが顔を上げると、女将さんはもういなかった。

何年か前、こうやって飲んでいて、ヨコタさんは、池袋のどこかに眼鏡を忘れて帰ったことがある。家に戻ってから気づいたらしく、翌日、電話で、「ねえ、ぼく、どこまで眼鏡をかけていた?ラーメン屋でははずしてた?」と訊くから、「そんなこと知りませんよ。」と答えた。そういえば、「この眼鏡、レイバンなんだぜ、ぼくは、レイバンの眼鏡しかしないんだ。」と自慢された記憶があるが、マッカーサーでもあるまいし、レイバンがそんなに偉いのか、と疑問に思っただけで、それ以降、ヨコタさんの眼鏡には注意を払わなかったのである。
まあ、そんなこともあったから、ここ数年は、きちんと眼鏡をしているか、時々、ヨコタさんの顔をチェックするようにしている。私の念入りなチェックが実ったか、夕べは、最後まで、ヨコタさん、眼鏡を忘れることはなく、深夜、池袋駅の改札に消えていった。
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