アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

歌舞伎町の宇宙人

yuu.jpg

小学校1年生の時の先生は、宇宙人だった。エイリアンである。先生はエイリアン、なのである。先生がそう主張するのだから間違いない。O先生といって、女の先生だった。

宇宙人にもいろいろあって、ロズウェルで捕獲されたというグレイ型などが有名だが、何しろ、小学校の先生をしているくらいだから、グレイのわけはなく、ジョージ・アダムスキーが懇意にしていたという金星人型だったのだろう。金星人は、人間とほとんど見分けがつかない。
宇宙人が小学校で教鞭を取れるのか、そう疑問に思われる方もいるだろう。私だってそう思う。しかし、諸星ダンの例がある。いきなり現れた宇宙人が、地球を守るウルトラ警備隊の隊員になったではないか。そう考えれば、小学校の先生になれない理由はない。

とにかく先生は宇宙人だった。先生がそう言うのである。
学校が終わると、空飛ぶ円盤に乗って帰る、そう言うのである。

正一と私は、それを確かめるべく、ある日の放課後、先生の後をつけることにした。
校門を出る先生の後ろ、数メートルの距離を保ちながら、尾行を開始する。私の小学校は歌舞伎町の近くである。先生は、大通りを渡ると、歌舞伎町へと足を進めた。
実は、歌舞伎町へ行くのは、これが初めてだった。いや、もしかしたら、親に連れられて、歩いたことはあったかもしれないが、子供だけで歩くなんてことはなかった。大通りから向こう側は、私にとって、怪しい大人の世界だったのだ。不安があったが、何しろ、先生が円盤に乗り込むところを見たい、という気持ちの方が強かったのだろう。

先生は、私たちにはまったく気づかず、ただひたすらに先を急ぐ。
先生の背中を見ながら歩いていると、その向こうから夕日が降りてくるのがわかったが、その赤い色に覆い被さるように繁華街のネオンがちらついている景色にちょっとだけ驚いた。先生は、そんな眩い町の中に吸い込まれてゆくように歩いてゆくので、その姿を見失わないようについてゆくのに必死だったが、それから数年して、映画「未知との遭遇」を見た時に、どこかで見たような気がすると思ったら、何のことはない、この時の光景だったのだ。電飾に覆われた巨大な円盤のハッチが開いて、小さなグレイ型の宇宙人が現れ、そして、科学者たちを伴って再びその中へと消えてゆく、あのラスト・シーンである。私たちは先生を乗せるはずの円盤を見たわけではないけれど、先生を飲み込もうとする電飾の街は、幼い私にとって、まさにこの映画のように記憶されてしまったというわけだ。

やがて、先生は、西武新宿駅の前まで来ると、そのまま当たり前のように改札の中へと消えていった。正一と私は、ただ、何をするでもなく、先生の消えていった改札を見つめていた。
私たちの尾行はそこまでだった。
果たして、先生が宇宙人であったのかなかったのか、私たちは何も答を得ることなく、そして、このことについては何も会話を交わすことなく、そのまま駅の前で別れた。正一の家は、歌舞伎町だったと思う。
私は、もと来た道を引き返し、夕暮れの繁華街をひとりで抜けていった。大人たちでごった返す歌舞伎町は、まだ幼い私には縁のない恐ろしい場所に思えたものだから、なるべく回りを見ないように、大人たちと目を合わせないように、急ぎ足で歩いた。宇宙人を追って、気がついてみると、帰り道さえ定かではない見知らぬ場所に来ていたというわけだ。アブダクション寸前である。もう、先生の正体がどうした、などということはどうでもよくなった。私は、うろ覚えのまま、もと来たはずの道を進んだ。

そこから先のことはあまり記憶にないが、今もこうして何事もなく生きているところを見ると、無事に家までたどりつけたのであろう。西の空に浮かび上がった、遠い家々の影だけが脳裏に焼きついている。 


先生は円盤に乗らなかった。西武線に乗ったのである。

その後も、先生は、自分が宇宙人であること、そして、円盤で帰ることを話してくれた。私たちは、先生が西武線で帰ることを知っていたが、何も言わなかった。正一と、このことについて話をしたのは、ずっと後、大人になってからである。

先生は西武線で帰っている。
いや、もしかしたら、西武線のどこかの駅に円盤を待たせているのかもしれない。今では、そう考えられるくらいの大人に成長した。


金星人との別れに際し、アダムスキーはこう書いている。
「ファーコンとラミューが、街まで私を車で送り届けてくれた。われわれは一言もしゃべらなかった。
 ホテルにもどったとき、いよいよこの親友たちと別れねばならないときが来て、身を突き刺すような悲しみが、私を襲ってきた。」
    (ジョージ・アダムスキー「UFO同乗記」角川文庫)
スポンサーサイト

Comment

魔羅一郎 says... "人類の未来"
猫目殿、こんにちは。
貴重な経験を拝読させて頂きました。
猫目殿の先生は、どう考えたって宇宙人です。疑いようがありません。だって、聖職者が自らそう言っているのですから。
因みに、私が小学生の頃の先生は、妙な宗教にハマっていて、夜寝ていると、部屋の隅に落武者の生首が現れては、色んな悩みを打ち明けると言っていました。
大丈夫か、学校教育!?
宇宙人にアブダクションされた人間は、円盤の中で、男なら精液を搾り取られたり、女なら卵子や胎児を抜き取られたりと、随分卑猥なイタズラをされている事例が数多く報告されています。
恐らく猫目殿の先生も、歌舞伎町で人類(の女性)と、遺伝子レベルでの交流を図っていたのでしょう。
地球人に対する、この屈辱的なセクハラを告発せんと、銀河副大統領ローゼンに手紙を書いて、窮状を訴えるべきですね。ローゼン副大統領は、プレアデス星団では無く、中央線沿線の三鷹と云う案外身近なところに住んでいると聞き及びます。
落武者の生首と顔見知りだったり、宇宙人だったり、日本の学校は個性豊かな人材の宝庫なのですね。果たして、人外の者どもから教育を受けた地球人の子供に、未来はあるのでしょうか?
2006.09.07 11:43 | URL | #- [edit]
猫目 says... "魂の教育"
魔羅軍曹、こんにちは。
やはり、先生は宇宙人、そう思われますか。
落武者の生首、宇宙人、まさに、日本の教育は、魂の教育、ソウル・エデュケーションですね。ソウル・トレインで通ってみたいです。ソウブ・トレインではありません。
人類の未来、心配には及びません。
2006.09.08 13:51 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://libertin.blog11.fc2.com/tb.php/105-c522c9e3
歌舞伎町世界 > アジア > 東アジア > 日本 > 関東地方 > 東京都 > 新宿区 > 歌舞伎町歌舞伎町(かぶきちょう)は、東京都新宿区にある町名。飲食店・遊技場・映画館が集中する、日本有数の大歓楽街。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotatio
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。