アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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レオノール・フィニ展に行く

渋谷のザ・ミュージアムで、レオノール・フィニ展を見た。

レオノール・フィニ(1907-1996)は、アルゼンチンに生まれ、数奇な少女時代を過ごした後、フランスのシュルレアリストたちと合流した画家である。その強烈で、孤高なキャラクターのためか、総帥ブルトンとは相容れなかったらしく、結局、シュルレアリストたちとは袂を分かっている。
1952年の、シャトー・ムートン・ロトシルドのエチケットも描いているフィニ、その画風にはいくつかの転換期があるが、通底しているのは、魔術的なエロティシズム。絵画だけではなく、小説、舞台装置、舞台衣装、あるいは宝石のデザインまでこなした、社交界のスターでもあった。

私の大好きな画家のひとりであり、昔は、画集なんかもよく眺めていたものだが、そういえば、ここ10年ほど、その名前を思い出さなかった気がする。

1994年だったと思うが、池袋の西武百貨店で「澁澤龍彦展」というのがあり、彼の書斎をやや小さめに縮尺して再現していた。もちろん、本物の書物は持ち込めるはずもないから、書斎を囲む書棚を撮影した写真を壁に貼りつけていた。まさにマニア垂涎の空間である。
書斎そのものは、すでに多くの写真で散々見ていたから、なじみの深いものであったが、書棚に並んでいるすべての本、一冊、一冊の題名まではさすがに読み取ることが出来ず、ちょっとばかり歯がゆい思いをしていたので、この時は、真剣に、一冊、一冊の書名を確認していったものである。

その時、「ROGOMELEC」という本を見つけ、おや、と思った。これは、レオノール・フィニの小説なのである。
「ROGOMELEC」は、フランスにいる頃に読んだ作品で、奇妙な儀式に支配された孤島の湯治場で展開される、幻想小説である。なかなか面白いし、適当な長さだったので、お遊びに翻訳もしてみた。半分くらいは訳したような気がする。
そんなわけだったから、澁澤龍彦もこの小説を読んでいたのだと知って、嬉しいような、ちょっと悔しいような、そんな気分を味わったのである。
なお、フィニの小説作品としては、「夢先案内猫」という題名で邦訳されているものもある。

10年間、思い出さなかった、というのは、つまり、その後の10年を指す。

と言っても、実は、自宅には、フィニのポストカードなんかを何枚か飾ったりしているのだが、あまりに当たり前すぎて、意識していなかった。
そういえば、この絵、ポストカードを飾っていたな、と、今日、思い出したくらいなのだ。

「ROGOMELEC」の翻訳だが、すでに、15年くらい前のことで、当時使っていたワープロも動かなくなり、2インチという特殊なフロッピーが手元に残っているだけである。つまり、もう、読むことは出来ない。半分を訳した、などと書いたが、証拠がないので、もしかしたら、数ページを訳しただけだったかもしれない。
肝心の本も、書棚のどこか奥深くに埋もれてしまい、探すのも億劫だ。下手にいじると、絶妙に積まれた本たちが一気に崩れ落ちてくる。

「これ、かなり、やばいよね~!」
展覧会場で、大声で話している若いカップルがいた。まるで、フィニの舞台衣装のような服装、モード関係の学生、という感じだ。舞台で使われた仮面を見ながら言っているのである。
「やばい」というのは、この場合、賛辞の言葉なのだろう。

思い出してきた。確かに、フィニは、やばい、のである。




レオノール・フィニ展
2005年6月18日~7月31日 BUNKAMURA ザ・ミュージアム
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Comment

かえる says... "澁澤龍彦 初心者です"
こんにちわ♪
おお、猫目さんはこちら系に(も)造詣が深かったのですね。わたしはやっとこの頃大人になったので(笑)、なんとなく敬遠していた澁澤龍彦をやっとぽちぽち読み始めています。ま、これから楽しむものがまだまだあるっていうのもいいもので。と悔しがりですが・・・。
まずは絵画系からかな。先日きれいな古本で『澁澤龍彦空想美術館』をゲットして眺めてます、うーん贅沢。
でわでわ~
2005.08.24 10:42 | URL | #JalddpaA [edit]
猫目 says... "澁澤龍彦"
かえるさん、いらっしゃいませ。
こちら系・・・?
造詣が深いんだか、浅いんだか、まあ、いい加減なものですが。
澁澤発見ですか、いいですね。特に、美術に関する本は、小難しい評論に陥ることなく、絵を見る楽しさを語ってくれて、お薦めです。
澁澤レポート、お待ちしております!
2005.08.24 16:43 | URL | #GaU3vP2. [edit]

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