アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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旅の読書

電車に乗る時は、必ず本を読む。何しろ、歩いていても読書を欠かせない私であるから、電車の中というのは、読書にとってはかなりの好条件といえるのだ。
それが、例えば山手線で1駅か2駅、時間にして3分とか5分であっても、本は必要である。これが、10分、20分の行程だったとしよう。もしも、席が空いていれば、本がなくても、座って居眠りをして、読書へと向かう欲望を遮断することも可能だ。しかし、席が空いていなくて、立つことを余儀なくされてしまったら、これは、もう、読書の出番である。何もせずに、10分も20分も立ち尽くしているなんて、考えるだけで苦痛なのだ。

そんなわけだから、電車に乗る前というのは、非常に苦労する。
読みかけの本があれば何も問題はないのだが、これが常備されているとは限らない。その時には、駅前の本屋に入る。駅前にBOOK OFFでもあれば理想的なのだが、あいにくと、私の乗り降りする駅前には小さな新刊本屋しかない。
ところが、これが、なかなか見つからないのである。たった5分の読書のために、10分、いや、20分、30分、と、本屋の中を徘徊することになってしまう。これは、いらいらする。
1駅くらい、読書を我慢できないものか、と、自分に問いかけてみるのだが、返ってくる答えは、「できない。」である。

テーマのある読書というものには波がある。
例えば、「都市伝説」について興味を持ったとしよう。すると、読むべき本というのは山ほど出てきて、それらが、数珠つながりになって次から次へと展開する。サブカルチャー的な「都市伝説」の本から、民俗学、宗教学、心理学、超心理学、と、本たちは列をなして私を待っているのだ。ちょっとした売れっ子アイドルの気分である。
しかし、ひととおり読んでしまうと、その行列も消えてしまう。心にぽっかりと穴が空いたような淋しさが訪れるのである。
そこで、本を読まないで過ごすことが出来れば良いのだが、それが出来ない。読みたいものがなくても、本は読まずにはいられないのだ。そういう時が一番苦しい。こういう人間を、巷では「活字中毒」と呼ぶのだろう。

読書の波間、いや、パイプラインにはまった状態で、理想的な本を見出すのは難しい。1時間、本屋でねばったところで効果はないのである。次第に、自己嫌悪に陥る。私の中の良心が囁きかける。どうしたんだ、5分くらい、我慢できないのか、時間も無駄だし、くだらない本を買えばお金の無駄にもなるんだぞ、さあ、書を捨て、町へ出よう!

意を決して、私は町へ出る。力強く駅へと向かうのである。切符を買い、改札をくぐろうとすると、あるものが目に飛びこんでくる。KIOSKである。そう、東スポである。プロレスマニアのバイブル・東スポ。これも活字なのだ。5分ほどの渇きを癒すには、実は、東スポくらいがちょうどいい。私は、東スポを抱えて電車に乗り込む。

危機に瀕していた5分間の電車の旅が、東スポによって救われ、豊かなものとなる、そういう状況は少なくない。だから、東スポには感謝しているのである。

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Comment

魔羅一郎 says... "呪い!?"
先日、古本屋で軽い読み物なんぞを探していました。
ふと、ある一冊を手に取りました。しおりの代用でしょうか、前の持ち主が忘れたと思しき、一枚の写真が挟まっていました。
それは、生後間もない赤ん坊を胸に抱いた、若い女性のスナップ写真でした。何気ない日常の一場面なのです。けれど、その女性の顔の部分が、鉛筆かシャープペンシルと思われる、先の尖ったものでメチャクチャに突き刺された痕が残っていました。
うわぁ・・・嫌なもの見ちゃったなぁ・・・そっと本を戻しました。
夫が妻を憎んでいるのか、それとも、不倫女が、男の妻を呪っているのか・・・。いったい、何なのでしょうね。
これもまた、古本を漁る楽しみの一つなのでしょうか。
人間の業を思わずにはいられません。
ダークなオーラを感じたひと時でした。
私はどうして、こう云う妙な目に遭う事が多いのでしょうか?
2005.07.11 18:07 | URL | #- [edit]
猫目 says... "業深き者よ。"
魔羅じい、おはようございます。
古本の隙間に閉じ込められた情念。
そして、その封印を解いてしまう貴兄の業の深さ。
僅かな情念の痕跡を手がかりに、その写真の人間関係を探って行けば、それもひとつの古本探偵になるのでしょうね。しかも、誰も得をしない、望みもしない、純粋なる探偵行為。

依頼していいですか?
2005.07.12 08:16 | URL | #GaU3vP2. [edit]
魔羅一郎 says... "因果探偵"
親愛なるセニョール猫ム~チョ殿、コンチワ、デ御ザ、イマース。

依頼・・・でせうか?
困りましたねぇ。
報酬は、猫ム~チョ殿の魂でしょうか?
誰も望まず、誰も得をせず、暴いてもいたたまれぬ後味の悪さだけが残る、純粋な探偵行為・・・。
良いですよねぇ、そう云うの。
2005.07.13 13:40 | URL | #- [edit]

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