アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

七夕の夜に

七夕の夜、Y氏と会った。
画家のY氏は、私がフランスにいた頃の友人。毎年、夏になると家族で一時帰国するので、例年は、2度、3度と会っているのだが、去年は何故か1度しか会わなかった。まさに、七夕、織姫と彦星の関係なのである。

cis.jpgY氏一家が住んでいるのは、パリの郊外の小さな町。ここに一軒家を買い、自分たちで手直しをしながら暮らしている。浴槽も自分で取り付けたらしい。広い農園もあって、そこでは何種類もの野菜を栽培している。柵の向こうには、隣の家の牛だったか馬だったか、放牧されている。
彼の家には、3~4日、泊まらせてもらったことがある。午前中、大工仕事の手伝いをした。倉庫の荷物を移動させたり、砂利を作ったり、それはそれは重労働だったのだが、パンとワインで簡単な昼食を済ませると、「もう、やめようか・・」との声。気がつくと、私は、居間のソファで眠っていた。開け放った窓から、晩夏の涼しい風が入ってきて、農園の向こうの森の木々がざわざわと音を立てていた。静かな午後だった。ワインの酔いが心地良い。
あの日の昼寝は、私の長い昼寝人生の中でも十本の指に入るほどのものだったと断言できる。

Y氏と待ち合わせたのは池袋。示し合わせたわけでもないのに、ふたりとも、不精ひげに短パンという姿である。七夕ならではの奇跡と言えよう。
盃を酌み交わすのは、「蔵元居酒屋 清龍」と、毎年決まっている。サラリーマンたちの楽園とも言うべきこの酒場。男たちの熱気にあふれている。そこに、ふたりの短パン男が闖入した。

まずは、お互いの近況報告から始まって、共通の友人の近況報告になり、さらに、どうでもいいような世間話に花が咲く。
Y氏は、フランスから持ちこんだ巻き煙草を吸っている。こんな酒場にフランスの巻き煙草とは何とも場違いだが、男臭い酒場がフランスの香りに包まれたことは言うまでもない。一服の巻き煙草が、池袋の夜景をサン・ジェルマン・デ・プレの夜景に変えてしまったのである。

思えば、ちょうど1年前、同じ場所で、Y氏にブログを薦めた。パリ郊外での彼の暮らしをブログにしてみたら、と考えたのである。Y氏は、フランスに移り住んでからすでに25年、奥さんも画家である。彼は、毎朝、娘さんをパリ市内の中学校まで送り届けると、ルーヴル美術館で古代美術などを鑑賞し、その後、オペラ座界隈の「BOOK OFF」で、数時間、漫画を立ち読みするのだという。夕べも、最近お気に入りの漫画について熱く語っていた。いつ、絵を描いているのだ、という疑問も沸くが、とにかく、そんな日常をブログにしてほしいものである。
「ブログ、驚くほど、簡単ですよ。」
私の言葉に、Y氏もうなずいている。

ふたりの宴は、その後も続いた。心配された雨も降らず、短パンの彦星と織姫は、無事、1年に1度の逢瀬を楽しんだのである。

スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://libertin.blog11.fc2.com/tb.php/24-d5dc580e
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。