アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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猪木イズムとは何か?

まだまだ暑い日が続いているところをまことに恐縮であるが、猪木イズムとは何かということを考えたことがあるか?考えたことのない人は幸いである。何故なら、考えれば考えるほど、答えは藪の奥深くへと入り込んでいってしまうからだ。

アントニオ猪木。
矛盾だらけの男である。まぎれもなくプロレス史に輝く太陽でありながら、そのくせ、暗黒星でもある。猪木は、常に、パラドクスの中に生きているのだ。

リング上で猪木が見せた「狂気」は、「プロレス」の枠を越えた、まさに麻薬だった。仮に、それが、「真剣勝負」ではなく、「プロレス」だったのだとしても、猪木が放っていたのは、間違いなく「狂気」だったと思う。妖しいまでの「狂気」。あの狂気は、演出であると同時に、間違いなく、猪木の中に潜む狂気でもあったに違いない。
力道山が表現していたものが「怒り」であるとするならば、猪木が表現していたものは「狂気」。
相手がタイガー・ジェット・シンであろうと、グレート・アントニオであろうと、あるいはアンドレ・ザ・ジャイアントであろうと、猪木の見せる「狂気」は、私たち観客を戦慄させた。

普通のプロレスの試合の中で、ふと、一線を超えた瞬間の猪木、というのは、もう、鬼。こいつは本気で人を殺そうとしている、という、危険なリアリズムを体現していた。私たちも、そんな殺伐とした場面を見てみたい、という罪悪感と陶酔とを同時に感じていたわけだ。
いや、猪木自身さえ、ブードゥー教の儀式で繰り広げられるようなトランスに陥っていたのかもしれない。しかし、同時に、そのトランス状態で、観客を自分の思いのままに操る猪木、というのは、本当に空前絶後のレスラーだったのである。

あんな表情、表現は、猪木以外の誰にも出来なかった。

しかし、リング外では、詐欺師。もちろん、リングの中でも、ある意味、詐欺師だが。
胡散臭い事業に手を出し、莫大な借金を作ったり、平気で人を裏切る。80年頃、前田日明たちが、新日本プロレスを出てUWFを作った際に、実は、裏で画策し、結局は裏切ったのも猪木。

途方もなくスケールの大きいことをしでかす半面、極端に気が小さい部分もあったり、情熱的であると同時に冷酷であったり、純粋・崇高であると同時に、俗物、卑怯、とにかく、矛盾だらけなのがアントニオ猪木。

猪木は、今もプロレス界、格闘技界に大きな力を持っているわけだが、その方法は、常に物議をかもし出す。賛否両論まっぷたつに分かれるのが猪木である。

プロレスという概念、我々が抱いている概念に、揺さぶりをかけるのが猪木なのだ。結果として、それが、プロレスであろうと、プロレスでなかろうと、猪木の方法は、我々に、「プロレスとは何か」という問いを突きつけてくる。

例えば、猪木の異種格闘技戦によって、私たちはプロレスを知ったのである。どういうことか。
プロレスだけを見ていたのでは、実は、プロレスの範囲は見えてこない。自我というものが、外部との関係性の中で成立するように、プロレスと、それ以外、という概念がなければ、当然、プロレスの領域は見えてこない。
例えば、異種格闘技戦では、プロレスにおける「暗黙の了解」というやつが通用しない。プロレスの言語では成立しないのである。その時、私たちは、初めて、プロレスの境界というものを知る。しかも、その境界は、一定ではなく、常に揺れ動いている。揺れ動かしてきた震源地こそ、アントニオ猪木なのである。もちろん、異種格闘技戦だけではなく、リング内外での猪木の言動すべてが、プロレスの境界をめぐる挑発であり、問題提起であったわけだ。

「これでも、プロレスか?」「それなら、これは、プロレスではないのか?」「これなら、どうだ?」「これも、プロレスだろう?」「本当に、そう思っているのか?」
猪木は、そんな問いを我々に矢継ぎ早に投げかけ続け、常に新たな爆弾を投下し、ようやく固まりかけた概念を何度もつき崩してきた。

これこそが猪木イズムではないのか。
矛盾そのものを私たちに突きつけ、混乱させ、挑発する。
私たちは、猪木と共に、プロレスの境界をめぐる冒険を続けているのである。
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Comment

魔羅一郎 says... "熱いゼ、セニョ~ル!"
猪木を語る猫っち、熱いッスねぇ!
至高の聖は、俗にまみれているものです。
良いじゃないですか、猪木主義。
私には良くわからない世界だけど・・・。

最強のレスラーは誰?
馬場?
それとも猪木?
一番強いのは、ジャントニオ猪馬だよ!!

・・・と云う実に下らない問答が、小学生の頃に流行りました。
こんな書き込みしか出来ず、生まれてゴメンなさい。
2005.09.05 21:56 | URL | #- [edit]
猫目 says... "熱き心に"
そうなんです、魔羅君。
猪木を語り始めると、熱くなってしまう。
猪木原理主義者か?

ジャントニオ猪馬・・・。
おそろしい風体の男を想像してしまいます。是非、実体化させて、リングに上げてみたいものです。
2005.09.06 18:23 | URL | #GaU3vP2. [edit]

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