アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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小林少年のトライアングル

怪人二十面相の、小林少年に対する想いについて考えてみたことがありますか?

少年探偵団シリーズ、小説としては、最初の「怪人二十面相」、「少年探偵団」、そして、「妖怪博士」、このあたりまでが優れているが、その後は、同じパターンの繰り返しで、透明人間になってみたり、宇宙人になってみたり、ロボットになってみたり、という子供だましのアイデアが登場するだけである。何故だろう。

ご存知のように、二十面相は盗賊である。しかし、その目的は、次第に、少年探偵団、そして団長である小林少年への復讐へと変貌してゆくようにも思えるのだ。いや、復讐というよりも、誘惑である。手を変え、品を変え、小林少年を誘惑しているとしか思えない。
二十面相の、時には残酷とも思える手口は、実は、小林少年に対する屈折した愛情である。復讐心と嫉妬とがごちゃまぜになった、複雑な愛情だ。

嫉妬、というのは他でもない。
小林少年に愛情を注ぐのは、二十面相だけではないからだ。もちろん、明智小五郎がいる。明智は、小林少年の親代わりとして、正しい愛情をかけているように思える。二十面相の企みから、小林少年を守っている、と。ところが、そう簡単ではなさそうだ。明智は、明らかに、二十面相の、小林少年に対する愛情に気づいている。それなのに、小林少年を安全に保護する気はないらしい。それどころか、むしろ二十面相を挑発するように、小林少年を矢面に立たせることもある。小林少年が絶体絶命の危機に瀕したのも一度や二度ではない。

おわかりだろうか。
明智小五郎、二十面相、そして、小林少年。この3人は、複雑な三角関係にある。
小林少年という頭脳明晰な美少年に対し、ふたりの大人が駆けひきを繰り返している。

子供のいない伯父さんがいる。仕事柄、海外へ行くことの多いこの伯父さんは、時々、新しくて珍しいおもちゃを持って遊びに来ては、甥の気を引こうとするのである。そんな風景が思い浮かぶ。そして、その伯父さんに嫉妬の念を抱き、父親として子供を守ろうとしながら、それでいて、子供の可愛さをアピールしないではいられない父親。

次から次へと新たな仕掛けを披露する二十面相は、その子供だましのおもちゃによって、小林少年の気を引こうとしているわけだ。それを知りながら、時には、二十面相の目の前に小林少年を晒してみせる明智。
残酷なものだ。
しかし、この、一筋縄ではいかないふたりの男が夢中になるほど、小林少年は魅力的だった、そういうことだろう。罪作りな少年ではある。

怪人二十面相は、本名を遠藤平吉という。そのことは、「サーカスの怪人」で明らかにされるわけだが、平吉、普通に、ケチな盗っ人でいれば、それなりの平穏な晩年を送れただろうに、ひとりの美少年によって、人生を狂わされてしまったのだ。盗っ人・平吉ではなく怪人二十面相として、エスカレートする一方の悪戯。巨万の富は得ていただろうが、金に糸目をつけない、あのやり方では、支出も同じくらい大きかっただろう。いや、もしかしたら、赤字だったかもしれない。

少年時代に熱中した少年探偵団シリーズ。
そんな角度から改めて読み直してみるとまた面白い。秋の夜長、男たちの三角関係をじっくりと味わってみてはいかがだろう。
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Comment

kei says... "はじめまして。"
 はじめまして。
 少年探偵団シリーズは、小学生の頃,読んだ事があります。しかし、熱中する所までいきませんでした。いくらなんでも古すぎる、と違和感を感じたからです。
 どうしてかなあ、横溝正史はそのレトロ感が魅力なのに。

 あと、シャーロック・ホームズも、子どもの頃は、それほどおもしろいとは思わなかったです。
 私が本当に夢中になったのは、アルセーヌ・ルパンです。探偵小説というより、冒険大活劇ですよね。

 でも、大人になってからホームズを読んでみると本当におもしろい。推理がどうの、というより、ホームズとワトスンの共依存的な友情物語ですよね。

 ということは、大人になった今、少年探偵団シリーズを読むと、また違ったあじわいがあるかも。
 うーんんん・・・、ちょっと難しいかも。でも、設定がいいから、誰かにリメイクしてもらいたい。
2005.09.16 11:29 | URL | #- [edit]
猫目 says... "ルパン、ルパン、ルパン!"
keiさん、はじめまして。

少年探偵団シリーズ、その古さも魅力だと思います。乱歩の小説は、時代の風俗が描かれていて楽しいです。横溝正史は地方、乱歩は都会、って感じでしょうか?

ルパン、私も大好きです。
今、映画が公開されて、ルパン・ブームが来るんでしょうか(笑)。
私も、小さい頃から圧倒的にルパン党でしたが、少しずつ、ホームズの面白さもわかるようになりました。ヴィクトリア時代の雰囲気が、子供には、どうしても重苦しく感じるのではないでしょうか。
ルパンは、軽快で、かっこいいですからね。

「江戸のホームズ」こと半七親分の話も面白いですよ。

そのうち、ルパンのことも書こうと思っておりますので、また、寄っていただけると、嬉しいです。
2005.09.16 18:13 | URL | #GaU3vP2. [edit]

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