アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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ゴシック・ロマンとロッキー・ホラー・ショー

カルト・ムービーの元祖とも言うべきミュージカル映画「ロッキー・ホラー・ショー」について、石上三登志は、こう書いている。

「(前略)”怪奇城の伝説”に関する秀逸な批評であり、そしてオマージュでもある。」(「吸血鬼だらけの宇宙船」)

「ロッキー・ホラー・ショー」、実は、映画の元となるミュージカルが作られたのは1973年というから、「燃えよドラゴン」とほぼ同じ時期。もちろん、だからどうした、ということはないのだが、この作品もまた、「燃えよドラゴン」のように、城が舞台である。というよりも、「怪奇城の伝説」に対する意識的なパロディなのだ。

石上が言う「怪奇城の伝説」とは、前回触れた、18世紀ゴシック・ロマンに端を発する、物語の舞台としての城のことであることはもちろんである。
誰でも観たことのあるフランケンシュタインやドラキュラの映画、それらはすべて、城を舞台として展開する。城は、おどろおどろしい妄想を伴う中世の象徴であり、外界からは隔絶された、閉じた場所。謎や恐怖のエネルギーが蓄積された空間である。

「ロッキー・ホラー・ショー」は、これらの物語が伝えてきたステレオ・タイプをこれでもか、これでもか、と登場させてくれる。マッドサイエンティスト、怪物、せむしの召使い、捕らわれた被害者、そしてドイツ人科学者、と、キャラクターはどこまでも紋切り型。これは、脚本、音楽、そして自ら出演もしているB級映画マニア、リチャード・オブライエンならではのパロディである。ユニヴァーサルだの、RKOだの、ハマー・プロ・・・そして、フェイ・レイ、アン・フランシス、といった女優の名前まで、B級映画、SF映画ファンにはたまらない引用をふんだんに散りばめている。

そして、何よりも、音楽が素晴らしい。これがあるから、映画館は、ライブ会場のような興奮状態になる。

当時流行し始めていたグラム・ロックの影響を浴びて、一曲、一曲が珠玉のロックンロール。謎の城で繰り広げられる倒錯者のパーティ、そこに、城主にして女装のマッド・サイエンティスト、フランケンフルターが現れるあたりで、映画館内のボルテージも最高潮となり、あとは館内がスクリーンと同時進行のお祭り騒ぎ。ロンドンでもパリでも、水は飛ぶわ、米は飛ぶわ、台詞を先回りして合唱するわ、スクリーンの前で踊り出す客はいるわ、で、もう手のつけようがない。

パリに住んでいた頃、この映画は、毎週末深夜、カルチェ・ラタンの映画館studio Galandeで上映されていたが、床は米でジャリジャリしているし、飛び交う水のせいで館内はかび臭いし、ちょっと掃除くらいしたらどうだ?と思ったものだが、そのくらいで閉口していては、この映画を楽しむ資格はないのである。
今、ネットで調べてみたら、今でも、この映画館で金曜日、土曜日の深夜、「ロッキー・ホラー・ショー」はかかっているらしい。

そんな客席の模様を収録したCDまで出回っているほどなのだから、その熱狂ぶりは空前絶後だ。もちろん、そのCD、私も持っている。

まさにはまり役、フランケンフルターを演じていたのは舞台出身のティム・カリー、そ
の後、映画「タイムズ・スクウェア」などにも出演し、ボブ・エズリンやマイケル・ケイメンらとソロ・アルバムも出している。でも、一番の出世は彼らに翻弄される無垢な新妻役を演じたスーザン・サランドンだろう。ティム・ロビンス夫人でもあり、今ではハリウッドの大物女優のひとりとなったのは誰もが知るところ。もっとも、実は、結婚はしていないらしいが。

私はこの映画を20回ほど観ているが、その程度じゃ、マニアとしてはまだまだらしい。

15年ほど前に、ロンドンで、元祖舞台版「ロッキー・ホラー・ショー」を観たことがある。日本人の客が多いせいか、狂言回し(ナレーター)役が、日本語で挨拶をしていた。最後のカーテンコールで、その役者が、持っていた花一輪を、妻に向かって投げてくれた。私たちは最前列だったのだ。その花は、枯れるまで、我が家の家宝として扱われたことは言うまでもない。

ゴシック・ロマン、B級SF、グラムロック、まあ、いかにもマニア向けの映画だ。ダメな人にはとことんダメな映画だろう。しかし、一度、病みつきになってしまうともう終わりだ。5回や10回は繰り返し観てしまうことになる。
ただ、できれば、米や水を浴びながら、映画館で観てほしいものである。


ROCKY HORROR PICTURE SHOW
監督    ジム・シャーマン
脚本・音楽 リチャード・オブライエン
出演    ティム・カリー スーザン・サランドン バリー・ボストウィック ミートローフ他

Studio Galande
42, rue Galande 75005 Paris

「吸血鬼だらけの宇宙船」石上三登志著(奇想天外社)
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Comment

かえる says... "わたしもけっこう台詞言えます^^;)"
「ヤング・フランケンシュタイン」も好きです♪
2005.10.31 10:02 | URL | #JalddpaA [edit]
猫目 says... "やっぱり!"
おお、やっぱり(?)、かえるさんもファンでしたか。台詞、つい、覚えてしまうんですよね。

「ヤング・フランケンシュタイン」、ジーン・ワイルダーですね。あれも面白い。当時は、「ロッキー・ホラー・ショー」と「ヤング・フランケンシュタイン」、「ファントム・オヴ・パラダイス」、「ブルース・ブラザーズ」「フェイド・トゥ・ブラック」などの、いかにもマニアックな映画がオールナイトで同時上映されていたものです。
懐かしい!
2005.10.31 16:43 | URL | #GaU3vP2. [edit]
かえる says... "おお!"
「ブルース・ブラザーズ」にも激しく反応です。レイア姫様~!
2005.11.01 10:47 | URL | #JalddpaA [edit]

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