アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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11月の蚊

明日から11月だというのに、蚊がうるさくて眠れない。
それも、1匹や2匹ではない。夕べも、何とか壁際に追いこんで消臭スプレーで仕留めたと思ったら、すぐさま、トイレにも出現した。これは、密室だったから、見失うこともなく、きっちりと素手で仕留めた。安心して眠れると思って布団に入り、電気を消したら、また、耳元で、ぶ~ん、と、あの嫌な音がする。顔の付近を飛んでいるのだ。無闇に顔を叩いてみるが、自分が痛いだけで、蚊はまたすぐに戻ってきて、私をあざ笑うかのように耳元で、ぶ~ん、と、飛びまわっている。

こうなると、もう、蚊の羽音が気になって眠れない。
実際に、蚊がいようといまいと、羽音が聞こえるような気がしてならないのだ。幻聴である。そういう時、蚊への憎悪は、頂点に達する。11月なのに、という点が、また、癪に障る。

蚊。
確かに、蚊に刺されると痒い。特に、痒いのに、いざ掻こうとすると、どこが痒いのかわからない時は辛い。掻いても、掻いても、患部がするりと逃げてゆくような感じだ。大リーグボール3号はバットをよける魔球だったが、大振りすればするほど球が逃げてゆく、あの焦燥感である。

しかし、もし、蚊に、あの羽音がなかったら、と想像してみよう。これほどの憎悪は生まれるだろうか。痒いのも嫌だが、何にもまして蚊を支持できない理由は、やはり、あの羽音につきる。あの羽音さえなければ、もう少しうまくつきあえるような気もする。
蚊だって、わざわざ羽音を立てて人間に殺気立たれ、殺されてしまうよりも、静かに近づき、そうっと血を吸い、再び音もなく離れてゆく方が、何かと仕事もしやすいだろうに、と思う。

相手を仕留めるのに、わざわざ音を立てて近づくやつはいない。ステルス戦闘機を見てみるがいい。気配を消して近づく、これは、ヒットマンの鉄則だろう。

なのに、蚊ときたら、どうして、ああまでして自分の存在を誇示したがるのだろう。自分が損をするだけだということに気がつかないのだろうか。蚊の世渡り下手ときたら、もう、見ていられないほどである。ちょっと、意固地になりすぎているような気がしないでもない。

もしも、蚊に、羽音がなければ、血を吸っている蚊をそっと捕まえて、窓の外に放してやるくらいの度量は、私にだってある。仏教徒ではないけれど、無闇に殺生はしたくない。ゴキブリやネズミに比べれば、はるかに可愛らしい姿をしているというのに、やつらと同じくらいに憎まれているではないか。

世の中には、悪い人ではないのに、つい余計なことを言ったりして嫌われてしまう、損な性格の人がいる。「悪い人ではないんだけどねえ。」と惜しまれながらも、やはり、そういう人は幸せな人生を送ることができない。自己主張が美徳とされないことの多い日本社会は、なおさら、そういう人には不利に作られている。
嫌味なほどの自己主張をやめようとしない蚊も、実は、そんな日本社会には適応できない不幸な存在なのか。悪いやつではないんだけどなあ、お互い、もう少し、歩み寄れる点はないのだろうか、などと考えつつ、今夜も蚊を追い続けることになりそうである。
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