アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マルセイユの透明人間

マルセイユには透明人間がいる。

子供の頃に読んだ本にそう書いてあった。

マルセイユといえば、フランス最大の港町だ。世界中の移民が集まる多国籍都市。そのマルセイユの、場末の酒場で、透明人間は目撃された。

カウンターで酒を飲みながら、ふと隣の男を見て、その客は仰天した。男の片腕が透明だったのである。宙に浮いたグラスは、ごく当たり前のように、口まで運ばれ、男はうまそうに酒を飲んでいる。誰が見ても、透明人間である。

透明人間は、客の視線に気づくと、そっと店を出て行った。
その客があとで知ったところでは、透明人間は、猟師であった。それが、海で鯨に飲まれ、命からがら脱出したものの、鯨の胃液で色素を破壊され、体の数箇所が透明になってしまったという。

これが、世に言う、マルセイユの透明人間である。

鯨に飲まれた、といえば、「侍ジャイアンツ」の番場蛮のお父さんを思い出す。お父さんは、巨大な鯨の腹を裂いて脱出したという武勇伝で知られている。息子の蛮も、お父さんにならって、巨人軍という巨大な鯨の腹破りをしようと、あえて入団を決意するわけだ。
ところが、蛮のお父さんは鯨の胃液を浴びて死に至ったが、透明人間になった、とは、梶原一騎も書いていない。

マルセイユには透明人間がいる。

それを知ってから、私は、マルセイユという港町に恐れを抱くようになった。いかにも不穏な感じがする。
その後、メルヴィルの名作「白鯨」を読んで、何故か、その舞台をマルセイユだと勘違いしたまま成長してしまった。もちろん、「白鯨」の舞台はアメリカ、東海岸である。とにかく、港町に関するあらゆる不穏な情報を、私はマルセイユに集結させてしまったのである。

実は、一度だけ、マルセイユに行ったことがある。
子供の頃から恐れを抱いていた町でありながら、一度は行ってみたいと思っていた町。ところが、そうは言いながら、本当にマルセイユを見てしまうと、何だかがっかりするようで、行ってみたくないという気持ちもある。女心は難しい。

そして、その時のマルセイユで、透明人間を発見することができなかったことは報告しておきたい。現れなかったのである。もっとも、ピンクレディは歌っている。
「嘘を言っては困ります。現れないのが透明人間です。」と。けだし名言であろう。

ただ、マルセイユには、あるはずのないものが存在しているのも確かだ。
それは、モンテ・クリスト伯が幽閉されていた牢獄。「モンテ・クリスト伯」は、御存知のように、「岩窟王」の名でも知られた、アレクサンドル・デュマの小説である。小説なのだから、あるはずがない。でも、あるのである。
透明人間はいなくて、「岩窟王」はいるのか。

「岩窟王」といえば、家族旅行で訪れた沖縄の玉泉洞の奥に、その名前のついた岩を見つけたことがある。立派な岩だったから、その名前がつけられたのだろうが、それを見て私の父が、「岩窟王かあ!そういえば似ているなあ!」ともらした。
岩窟王とは、一体、どういう顔だったのだろうか。父も他界してしまった今では、そのことを知る手がかりもなくなった。
スポンサーサイト

Comment

魔羅一郎 says... "喧伝"
猫やん、こんにちは。
マルセイユの透明人間、すごいですよね。我らの常識を覆す存在です。
それはそうと、今日はひとつ、喧伝なんぞをお許し下さい。
昨日の夜、自分のホームページなんぞを作ってみました。まだ出来たてのホヤホヤで、誤字脱字も満足に直していません。私がこだわりを持ち続けている、画家兼オカルティスト、オースティン・オスマン・スペアに関するものです。
お暇でしたら、一読下され。

http://www.geocities.jp/kerzenmeister/index.html

因みに、魔羅一郎では何ですので、「鬼畜」のアナロジーである「朽木」の名を使っています。
宜しく。
2006.02.22 12:58 | URL | #- [edit]
猫目 says... "ついにヴェールを脱ぐ・・!?"
魔羅師、こんばんは。
ついに、ホームページ公開ですか!
この日を待っておりました。

そのサイトによって、スペアの全貌が少しずつ明らかにされてゆくことを期待しております。

勝手ながら、リンクをはらせていただきます。
2006.02.23 22:30 | URL | #GaU3vP2. [edit]
idealistk says... "魔羅様 HP開設おめでとうございます"
魔羅様
HP開設、おめでとうございます。これは、本当にうれしいニュースです。「黄金の夜明け」人脈のことも良くは知らないのですが(国書刊行会刊行の「世界魔法大全」全五巻・1983年、は所有しているものの)、スペアという画家・オカルティスト、何か、魔羅さんとご縁があるのかも知れませんね。私自身の感想は、今自分がスペアの絵を見てしまうのは、時期尚早と言う気がして、思わず、はっとリンクのクリックを戻したりしました。もったいないという感じ。自分でアストラル的なるものがわかってから見たいようにも思います。いずれにせよ、これは素晴らしいHPですね。歴史に埋もれつつある才能にあふれた純な魂の遍歴を、再び世に明らかにすることですから。少しずつ読ませていただきます。
2006.02.25 21:16 | URL | #- [edit]
魔羅一郎 says... "夜の声"
idealistk様、今晩は。お褒め頂き、有り難う御座います。
我が家に眠る魔導書の数々が、夜な夜な呻いて、「出せ、出せ!」と煩いのです。ネットで紹介してやれば、少しは大人しくなるかと思い、浅学非才の恥を承知で、公開に踏み切りました。
今後とも、楽しんで頂ければそれに勝る喜びはありません。
それと、idealistk様のブログへのリンクをお許し願えれば幸いです。
2006.02.27 17:48 | URL | #- [edit]
idealistk says... "魔羅様 「よろこんで!」"
リンク、私の方は、『アングルのバイオリン」さんのお隣に既に張らせていただきました。喜んで、お願いします。
2006.02.28 05:41 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://libertin.blog11.fc2.com/tb.php/88-a56b3a01
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。