アングルのバイオリン

violon d'Ingres. 趣味か余技か、それとも悪ふざけか・・・ とにかくこれが私の日常。

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アンダルシアの水音

アンダルシアが大好きなのだ。

まず、アンダルシア、という響きがいい。
フランス語では、「アンダルジー」と言う。ルイス・ブニュエルとダリの映画に、「アンダルシアの犬」というやつがあったが、これなんかも、何て素晴らしいタイトルなんだと思う。近藤真彦にも「アンダルシアに憧れて」という歌があったが、あれはちょっとばかりいただけない。スペインとフランスとイタリアがごっちゃごちゃである。アンダルシアの何たるかががわかっているのか。

アンダルシアには何度か行ったことがあるが、昼下がりの、シエスタの時間に、街の中をうろうろするのがいい。お昼に、サングリアなんかをしこたま飲んで、もう、ほろ酔いを通り越して泥酔気味で、散歩をする。強い日差し。旧市街の白い町並みが目にまぶしい。シエスタというだけあって、どこも静かである。お昼寝の時間なのだ。パティオを覗き込むと、鮮やかな鉢植えの花々に囲まれたその中心に、噴水がある。決して、勢いよくというわけではなく、どちらかというと、チロチロ、と、控えめに水が出ている。そんな風景を見てしまうと、もういけない。ひと眠りする場所を探すのである。アンダルシアの皆さんに負けないように、私も、シエスタを決め込む。一緒にいる妻にとっては迷惑な話である。しかし、1リットルほどのサングリアが効いているので、ここで仮眠をとらないわけにはいかない。夕方からの観光に差しさわりが出るのである。

目を閉じると、水の音が心地よい。夏のアンダルシアは、もちろん暑いのだけれど、日陰に入ると、驚くほど涼しい。湿気がないのだろう。アンダルシアの静かな中庭、かすかな水の音。これほど贅沢な昼寝があるだろうか。私は、すぐに心地よい眠りに陥ってしまう。

アンダルシアの庭、といえば、やはり、アルハンブラ宮殿ということになる。
「アルハンブラの想い出」というギターの名曲、あの、絶え間なく鳴り響くトレモロは、おそらく水の音である。そうに違いない。
出来るならば、アルハンブラ宮殿に住んでみたい。一日中、水の音を聴きながら、あっちで昼寝、こっちで昼寝を繰り返す。ほとんど、人間の屑、というやつであるが、実は、アルハンブラ宮殿で、本当にこんな一日を過ごしたことがある。

もし、大きな屋敷にでも住める時が来たら、アンダルシア風の庭園を作り、日がな一日、アンダルシアの水音を聴いていたいと、ひそかに考えているが、それは、もちろん、実現不可能な夢である。


そういえば、アンダルシア出身のロルカの詩に、こんなものがあった。

 ぼくの部屋から
 噴水がきこえる

 ブドウのつるが一本
 太陽の光線が一本
 かれらはゆびさす
 ぼくの心臓のありどころ

 八月の空
 ただよう雲
 ぼくは夢みている
 
 これは噴水の内部の
 夢ではないと

  (「グラナダと一八五〇」長谷川四郎訳)
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Comment

魔羅一郎 says... "アルハンブラの夢"
白日の陽光に汗ばみ、午後のうたた寝から目覚めた猫氏は思った。
「此処は何処だ?」と。
近くにいる筈の妻の姿を探すも、廃墟に人影は無く、呆然と佇む猫氏。
些か、酒を飲み過ぎたのかも知れない。サングリアは軽い飲み物だけれども、それでも度を過ぎれば酔いもするし、記憶も定かでは無くなるものだ。

取り敢えずホテルに戻る事にする。異国の地ではぐれたとは云え、妻も一人前の大人だ。ホテルで待てば、きっと帰って来るだろう、そう猫氏は考えた。
ホテルに戻ると、フロントで、妻の事を尋ねた。
仏語に堪能であるが、猫氏、エスパニョールには疎い。
それでも、片言のスペイン語を駆使して、身振り手振りを交えて無理矢理会話を成立させた。

フロントの女。
「あの・・・アルハンブラ宮殿って、何ですか?」
「あなた、アンダルシアの人では無いのですか?」猫氏は尋ねる。
「この地に生まれ育ちましたが・・・此処はアンダルシアなんかじゃ、ありませんよ」
きっと、出稼ぎの娘が、何かを勘違いしているのだろう。釈然としない気持ちのまま、猫氏は部屋に戻った。
旅の間中持ち歩いている『地球の歩き方』を開いて、人気の観光名所を探す。妻はきっと、散歩がてらに、観光地巡りをしているのだろうと思ったからである。

が・・・アンダルシアを見つけ出すことが出来なかった。
いや、そもそも、本にある地図には、スペインさえ記されていない。
ページの片隅に、コラムが載っていた。何気なく読んでみると、スペインと云う国は、オーウェルなるSF作家が空想した架空の国であった。その本のタイトルは『アルハンブラ戦記』。架空の国の架空の街を舞台にした物語で、今度、日本でアニメ化される・・・。

「これは夢です」
頭の中で声が響いた。
あ・・・そうか。猫氏は、自分が未だ眠っていて、夢を見ているのだと合点した。夢の中で、夢に気付く、明晰夢と呼ばれる類の夢だろう。

猫氏は日本に帰国した。
そして、異国の地で見た不思議な夢の事を、自分のブログに綴った。
そのブログに目を通した友人の一人が、猫氏の元を訪れた。旅の土産話でも聞かせてもらおうと。
「で、いつ、その夢から覚めたの?」と友人は開口一番に聞いてみた。
「それが・・・」と猫氏は口を濁す。
「スペインなんて、随分突飛な空想だね、夢の中の話だとしても・・・」
「実は・・・」猫氏は、躊躇い勝ちに答える。「夢から覚めないまま帰国して、今も未だ、夢の中にいるんだけど・・・」
「じゃあ、ボクも君の夢の登場人物の一人なのか?日本ってのも、君の夢にしか存在しない、架空の国だって言うのか?」

まるで排水溝に吸い込まれる汚水の様に、渦を巻いて世界が収縮した。
目の前の景色が一点に集中し、世界が暗転した。
そして、ハッとして、猫氏は目を覚ました。
ああ・・・全部夢だったんだ・・・。
目を覚ますと、強烈な日差しが降り注ぎ、全身がじっと汗ばんでいた。
「此処はスペイン、アンダルシア・・・アルハンブラ宮殿」
猫氏はホッとして呟いた。
随分長い夢を見たものだ。サングリアを飲み過ぎたせいだ・・・。

昼寝から覚めた猫氏を咎める様に、妻が走り寄る。
風に髪を靡かせ、額から伸びた触手を揺らし、背中の翼を大きく広げて、日差しに焼かれる猫氏を影で覆った。
「もう、猫君、寝てばっかりじゃない!」新妻は、可愛らしく頬を膨らませて、猫氏を見下ろした。「お腹空いちゃったよ、何か食べにいこ!」
猫氏は、額の触手を震わせた。そして、自分も翼を広げ、無言で妻に答えた。
レストランを探しながら、猫氏は、うたた寝で見た夢の事を思い出していた。
「変な夢を見たんだ・・・」猫氏が呟く様に、妻に話した。
「飲み過ぎ禁止!」妻が答える。本気で怒った顔では無いが、触手が七色に変化して、些かご機嫌斜めの様子であった。
二人は手を取り合い、翼を広げ、宙に舞い上がった。そして、地球を後にして、月のレストランへと急いだ・・・。
食道楽の猫氏、早くもランチに想いを馳せる。もし、あのまま夢から目覚められなかったら、ずっと不思議な世界で生き続ける事になっていたのだろうか・・・ふとそんな事を考えるも、馬鹿馬鹿しくなり、空腹と云う現実に、夢の名残を洗い流した・・・。
2006.06.17 11:28 | URL | #- [edit]
猫目 says... "アルハンブラの幻"
魔羅どーな、こんばんは。

実は、夢からまだ覚めていないようです。

私の部屋の窓からは、時々ですが、幾何学的な庭園が見え、トイレに行ったら、足の下を鯨が泳いでいることがあります。
そういえば、アンダルシアから回ったバルセロナでは、極上の安食堂に行ったのですが、あとで調べてみたら、そんな店、存在しないのです。バルセロナ・オリンピックのちょっと前のことです。

すべては、レイ・ライン上での出来事では、と、示唆してくれたのは、貴兄でしたね。

もしかしたら、それも、夢だったのでしょうか。それとも、貴兄こそ、夢の中の人物なのでしょうか。いや、私が、貴兄の夢の中の存在であり、私の体験も何も、すべて、貴兄の夢の中の出来事なのかもしれません。
2006.06.19 21:16 | URL | #GaU3vP2. [edit]

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